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住宅ローン問題 土地収用権の行使に期待SankeiBiz)

米国の不動産ニュースをざっと見る限り、住宅市場の崩壊は終わったという結論に達するかもしれない。全米の住宅価格は16カ月連続で上昇し、2004年の水準あたりまで戻っている。

しかし昔のような幸せを味わっていない住宅所有者が970万人もいる。住宅の価値を上回る住宅ローン残高を抱え、ローンの支払いが家計の20%を占めるような人々だ。彼らの抱える負の資産の総額は5800億ドル(約56兆3586億円)に達する。

この問題をめぐり激しい論争が繰り広げられている。大手銀行や債券市場、不動産業界からなる陣営があり、これに対するのが、住宅の時価がローンを下回ってしまった住宅保有者や、こうした人々が多く住む数十のコミュニティーによる陣営である。

後者には、この問題を3つの段階で理想的に解決できると主張するベンチャーキャピタルのモーゲージ・リソリューション・パートナーズ(サンフランシスコ)も加わっている。同社によると、第1段階で各自治体が土地収用権を発動し、投資家が所有する債券が組み込まれたアンダーウオーター(ローン残高が住宅価値を上回る)状態のローン債権を差し押さえる。第2段階で自治体が民間から資金を調達し、現在のローンの額面価格から割引いた価格で投資家に支払いをする。第3段階で住宅所有者が新たなローンに借り換え、住宅価値とローン残高の差をマイナスからプラスへと転換する。

コーネル大学ロースクールのロバート・ホケット教授が考案したこの理論には、十分な正当性がある。住宅価値を上回るローンを抱えた家庭は、デフォルト(債務不履行)を選ぶことを思いとどまるだろう。銀行や債権者は差し押さえや任意売却が避けられることで、長い目で見ればコストを節約できるだろう。この論争の震源地となっているカリフォルニア州リッチモンド市をはじめ、住宅市場が壊滅的な状態に陥った都市が復活するかもしれない。

リッチモンド市はこの特殊な目的での土地収用権の行使の第1号になることを望んでいる。同市では失業率が11%を超え、多くの住民が身動きが取れない状況にある。彼らは自宅の売却やローンの借り換えが難しいことから、別の土地で仕事を探すこともままならないのだ。

ただし土地収用権の行使は強力な手段であり、慎重に進めるべきだ。うまく着手しなければ、投資家の安定的な参加が脅かされ、ローン債権の購入ができなくなる。そうなると、米国の利益は期待できないだろう。(ブルームバーグ Paula Dwyer、Mary Duenwald)